試験制度・勉強法に関するQ&A(17)
簿記初級・原価計算初級は、企業会計・経営管理に関する初歩的な知識が問われる検定試験です。
- 簿記1級
- 簿記2級
- 簿記3級
- 簿記初級・原価計算初級
低
簿記・原価計算の基本用語や複式簿記の仕組み、原価の種類・分類方法などの基礎知識を、広く・浅く・効率よく学ぶことができます。
受験資格は特にありません。性別や年齢、国籍などを問わず誰でも受験することができます。
簿記初級の受験者数は年間約4千人、平均合格率は約60%です。原価計算初級の受験者数は年間約2千人、平均合格率は約90%です。
年度別の詳細なデータは、簿記初級・原価計算初級とはのページでまとめています。
簿記初級・原価計算初級は日商簿記検定の入門的な位置づけの資格です。きちんと勉強すれば全員合格できるレベルの難易度(難度)です。
簿記初級・原価計算初級の合格に必要な勉強時間(標準学習時間)は、受験生の地頭の良さや簿記との相性、運などによって大きく異なりますが、一般的には(知識がゼロの状態から)50時間前後と言われています。
勉強期間は、1日1時間勉強すると1.5か月、1日2時間勉強すると1か月ぐらいがひとつの目安になります。
大学の推薦入試・就職活動・転職活動で評価されるのは簿記3級以上です。よって、簿記初級・原価計算初級に合格してもほとんど役に立ちません。
経理職の正社員の採用にあたっては、資格の有無よりも実務経験が重要視されるケースが多いです。
未経験の場合、簿記初級・原価計算初級の合格だけではほとんどアピールできないので、最低でも簿記3級(※できれば簿記2級以上)に合格したうえで採用面接に臨むことをおすすめします。
簿記初級・原価計算初級は独学で合格可能です。市販教材を使って独学で勉強しましょう。
「基礎教材(1冊~2冊)」と「電卓」と「筆記用具」の3点が必要です。独学の場合、初期費用は3,000円~ぐらいが一般的です。
テキスト(教材)は、サイズやレイアウト、色使いなどを実際に自分の目で確かめて購入するのが一番です。
近くに大きな書店がないという方や、書店に行っても種類が多すぎて選ぶのが難しいという方には、TAC出版の「スッキリわかる 日商簿記初級」「スッキリわかる 日商原価計算初級」をおすすめします。すごく分かりやすいので、初学者の方にも好評の1冊です。
上位資格(簿記3級以上)にステップアップする予定がない方は、1,000円前後の安い電卓でじゅうぶんです。無理して高価な電卓を買う必要はありません。
一方、上位資格にステップアップする予定の方は、最初からある程度しっかりした電卓を買うことをおすすめします。コスパ・性能のバランスが良いのは3,000円~5,000円ぐらいの電卓です。
私が実際に購入・使用したうえで自信を持っておすすめできる電卓を、おすすめ簿記電卓のページで詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
簿記初級では、主に「簿記の基本原理」「期中取引の処理」「月次の集計」の3つが問われます。
- 簿記の基本原理:基礎概念・取引・勘定・帳簿・証ひょうと伝票
- 期中取引の処理:現金預金・売掛金と買掛金・その他の債権と債務・手形・商品・固定資産・純資産(資本)・収益と費用・税金
- 月次の集計:試算表(残高・合計・合計残高)の月次集計・資産総額や負債総額等の金額の読み取り
また、簿記初級の試験問題は大問3つ(第1問・第2問・第3問)で構成されています。
- 第1問(30点):語句の選択問題
- 第2問(40点):仕訳問題
- 第3問(30点):試算表の金額推定問題
なお、日本商工会議所の公式サイトにて簿記初級の出題範囲やサンプル問題が公開されています。受験前に必ず内容をご確認ください。
原価計算初級では、主に「原価計算の基礎概念」「利益の計画と統制」「製品別(サービス別)期間損益計算」の3つが問われます。
- 原価計算の基礎概念:原価計算を身につけるうえで基本的に知っておくことを理解する(原価概念・原価の計算・原価の分類・損益計算)
- 利益の計画と統制:利益はどのように変化するのか、なぜ利益が変化したのかを把握する(CVP分析・予算実績再分析)
- 製品別(サービス別)期間損益計算:どの製品・サービスが利益を出しているかを把握する(原価の集計・在庫の原価・製品別orサービス別の損益計算書)
また、原価計算初級の試験問題は大問3つ(第1問・第2問・第3問)で構成されています。
- 第1問(44点):語句の選択問題、仕訳問題
- 第2問(24点):CVP分析や予算実績差異分析などの計算問題
- 第3問(32点):製品別の期間損益計算問題
なお、日本商工会議所の公式サイトにて原価計算初級の出題範囲やサンプル問題が公開されています。受験前に必ず内容をご確認ください。
間違いノート(ミスノート)は「あなた専用の弱点克服教材」です。作り方・使い方を間違えなければ最強の学習ツールになるので、ぜひ作って有効活用してください。
作り方のポイントは「作るのに時間をかけすぎない」「要点のみを完結にまとめる」の2点です。自分がよく間違えてしまうところ、理解があやふやなところだけをピックアップして簡潔にまとめましょう。
使い方のポイントは「細切れの時間を有効活用する」「こまめに何度も目を通す」の2点です。5分、10分といった細切れの時間を有効活用して、とにかく何度も目を通してください。いつの間にか自然と理解できるようになります。
日商簿記検定の試験問題(過去問)は非公開です。
簿記初級・原価計算初級は基本的な内容の問題しか出題されないため、出題予想や予想問題(模試)を作成・公開しているところはおそらくないです。
簿記初級・原価計算初級の試験形態は「ネット試験」の1種類のみです(※簿記3級・簿記2級は「ネット試験」の他に「統一試験」と「団体試験」があります)。
ネット試験の詳細については、簿記初級・原価計算初級とはのページで詳しくまとめています。
ネット試験に関するQ&A(23)
簿記初級・原価計算初級のネット試験は、全国各地の試験会場(商工会議所ネット試験会場)で随時受験することができる試験です。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の受験料は、どちらも2,200円(税込)です。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の試験日は特に決まっておらず、各試験会場が独自に試験日を決めて実施しています。
簿記初級・原価計算初級の試験会場は、商工会議所ネット試験施行機関ページで都道府県別にまとめられています。
一覧の中から受験を希望する試験会場をピックアップして直接申し込みましょう。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の申込期間・申込方法は試験会場ごとに異なります。受験を希望する試験会場のサイトにて詳細をご確認ください。
簿記初級・原価計算初級のネット試験は、全国各地の試験会場(商工会議所ネット試験会場)の中から自由に選ぶことができます。
簿記初級・原価計算初級のネット試験は、原則として申込後の受験日・受験級の変更、受験料の返還請求(キャンセル)はできません。
簿記初級・原価計算初級の受験にあたって特別の対応・配慮が必要な方(ex.障がいをお持ちの方、妊娠中の方)や、車いす・補聴器・ルーペなどを利用する方は事前に申請する必要があります。
受験する試験会場によって必要な手続きや申請書類などが異なるので、受験を希望する試験会場に(試験に申し込む前に)直接お問い合わせください。
ネット試験は試験日時を自分で決めることができるため、試験時間がかぶらないようにうまく調整することができれば、同一日に簿記初級と原価計算初級のネット試験をダブル受験することは可能です。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の試験時間は、どちらも40分です。
絶対に必要な持ち物は「写真付きの身分証明書」「電卓(※そろばんでもOK)」の2点です。
「筆記用具」は試験中に使用できないため不要です。また、試験の残り解答時間はPCの画面上に常に表示されるため「腕時計」も不要です。
まず始めに、試験監督から試験の注意事項・パソコンの使い方などの説明があります。
その後、各自のPCのデスクトップに用意されている「商工会議所 ネット試験システム」というソフトをダブルクリックし、システムを立ち上げます。
試験番号と認証パスワードを入力し、名前・住所・電話番号などの個人情報を入力した後、各自のタイミングで試験を始めます。
試験終了のボタンをクリックするか、解答時間がゼロになると試験が終了します。その場で結果が表示されるので、印刷ボタンを押してネット試験システムを終了します。
最後に、合否および点数が書かれたスコアレポート(成績表)を受け取ってすべて終了となります。
簿記初級・原価計算初級のネット試験では、金額の3桁ごとにカンマ(コンマ)が自動入力されます。よって、金額にカンマ(コンマ)を付ける必要はありません。
画面表示がおかしい場合は、試験監督にその旨を伝えてください。すぐに対応してくれます。
なお、PCの画面上の表示がおかしい場合(ex.一部の表示が崩れている、金額を入力できない)は、いったん次の問題に進んでからもう一度戻ると直ることがあります。
途中入室(遅刻)は原則として認められません。ただし、災害や公共交通機関の遅れによる遅刻の場合は、遅延証明書の原本を提出することにより特別に対応してもらえることがあります。
途中退室はできません。トイレなどで途中退室する場合は、試験を終了する必要があります。また、いかなる理由があっても試験会場に再入室することはできません。
簿記初級・原価計算初級のネット試験では下書きが必要な問題は出題されないため、下書用紙は配られません。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の模範解答は公表されません。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の合格点は、100点満点中70点です。70点以上が合格、69点以下が不合格になります。
簿記初級・原価計算初級のネット試験は、試験終了後すぐに合格発表が行われ、試験結果がPC画面に表示されます。
なお、試験結果のページには大問ごとの点数・合計点・試験の合否は表示されますが、各問題の正解・不正解や配点箇所などは表示されません。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の合格者には、デジタル合格証(PDF形式)が授与されます。
スコアレポート(成績表)に記載されたQRコードをスマホなどのカメラで読み込むと、デジタル合格証が保管されているページにアクセスすることができます。お手持ちのスマホなどにデジタル合格証をダウンロードして、閲覧・印刷することも可能です。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の合格者には、デジタル合格証(PDF形式)が授与されます。紙の賞状は授与されませんし、合格後に請求することもできません。
簿記初級・原価計算初級のネット試験の合格証書はデジタルデータ(PDF形式)なので、「再発行」という概念はありません。
デジタル合格証は、スコアレポート(成績表)に記載されたQRコードからいつでも表示・ダウンロードすることが可能です。
日商簿記検定の正式名称は「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験」です。
ただ、履歴書に「日本商工会議所及び各地商工会議所主催簿記検定試験 簿記初級(または原価計算初級)合格」と書くのは長すぎるので、「日商簿記検定試験 簿記初級(または原価計算初級)合格」と一部を省略して簡潔に書くことをおすすめします。
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