未収入金とは
会計用語
勘定科目
未収入金とは、固定資産や有価証券の売却など通常の営業活動以外で発生した債権(=後日お金を受け取る権利)を処理するために使用する資産の勘定科目です。
日商簿記検定では「未収入金」が標準勘定科目、「未収金」が許容勘定科目と規定されているため、問題によっては「未収入金」ではなく「未収金」が使われることがあります。
標準勘定科目 | 未収入金 |
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許容勘定科目 | 未収金 |
未収入金の表示区分
1年基準に基づき、決算日の翌日から起算して1年以内に支払期限が到来する場合は、貸借対照表の資産の部の「流動資産」に表示されます。
一方、決算日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来する場合(=1年以内に支払期限が到来しない場合)は、貸借対照表の資産の部の「固定資産(投資その他の資産)」に表示されます。
【企業会計原則 > 第三 貸借対照表原則 > 四 貸借対照表の分類】
現金預金、市場性ある有価証券で一時的所有のもの、取引先との通常の商取引によって生じた受取手形、売掛金等の債権、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産及び期限が一年以内に到来する債権は、流動資産に属するものとする。
未収入金のホームポジション
未収入金のホームポジションは借方(左側)です。よって、未収入金を借方に計上すると残高は増加し、貸方に計上すると残高は減少します。
未収入金のふりがな・英語表記
ふりがな | みしゅうにゅうきん |
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英語表記 | Accounts receivable-other |
未収入金に関連する勘定科目
逆科目(反対側の科目)
未払金
未払金とは、固定資産や有価証券の購入など通常の営業活動以外で発生した債務(=後日お金を支払う義務)を処理するために使用する負債の勘定科目です。
なお、未収入金(資産)と未払金(負債)が存在する場合、両者を相殺して純額で表示すると会社の財政状態や規模感を正確に把握することが難しくなるため、(明瞭性の原則の適用により)相殺せずに総額で表示する旨が企業会計原則で定められています。
【企業会計原則 > 第一 一般原則 > 四 明瞭性の原則】
企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。
【企業会計原則 > 第三 貸借対照表原則 > 一 貸借対照表の本質】
資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債又は資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。
類似科目
売掛金
売掛金とは、商品の販売や役務の提供など通常の営業活動により発生した債権を処理するために使用する資産の勘定科目です。
- 新たに発生した債権を処理するときに使う
- 未収入金:通常の営業活動以外で発生した債権を処理するときに使う
- 売掛金:通常の営業活動により発生した債権を処理するときに使う
未収収益
未収収益とは、一定の契約に従い継続して役務(=サービス)の提供を行う場合、すでに提供した役務に対して未だその支払いを受けていない対価を処理するために使用する資産の勘定科目です。
- 一定の契約に従い継続して役務の提供を行っている
- すでに提供した役務に対して未だその支払いを受けていない
よって、通常の営業活動以外で発生した債権のうち、継続的な役務の提供により発生した債権は未収収益、それ以外の取引(=非継続的な取引、単発の取引など)により発生した債権は未収入金で処理します。
例えば、使用した月の翌月末に賃料を受け取る契約で第三者に建物を貸し出している場合、決算月(3月分)の家賃は4月末に受け取ることになりますが、この1か月分の家賃は「継続的な役務の提供により発生した債権」に該当するため、3月末の決算において未収収益(未収家賃)で処理します。
一方、固定資産の売却は単発で行われるため、売却により発生した債権は未収入金で処理します。
- 未収収益:継続的な役務の提供により発生した債権
- 未収入金:それ以外の取引(=非継続的な取引、単発の取引など)により発生した債権
また、「支払期日が到来しているか否か」によって分類することもできます。
支払期日は到来していないが、役務の提供により実質的に発生している債権(=未確定債権)は未収収益、支払期日は到来しているが、未だ支払いを受けていない債権(=確定債権)は未収入金で処理します。
例えば、使用した月の翌月末に賃料を受け取る契約で第三者に建物を貸し出している場合、決算月(3月分)の家賃は4月末に受け取ることになりますが、この場合は4月末が支払期日になるため、3月末の決算においては「支払期日が未だ到来していない債権」として、3月分の家賃を未収収益(未収家賃)で処理します。
一方、固定資産を売却したときに発生する債権は売却日が支払期日になるため、未回収分は「支払期日がすでに到来している債権」として未収入金で処理します。
- 未収収益:支払期日が未だ到来していない債権(=未確定債権)
- 未収入金:支払期日がすでに到来している債権(=確定債権)
【企業会計原則 > 注解 > [注5] 経過項目勘定について】
未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴いすでに当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
未収入金に関連する仕訳
発生時の仕訳
簿記3級レベル
問題:帳簿価額10,000円の土地を12,000円で売却し、代金は後日受け取ることになった。
(貸)土地 10,000
(貸)固定資産売却益 2,000
回収時の仕訳
簿記3級レベル
問題:先日売却した土地の代金12,000円を現金で回収した。
(貸)未収入金 12,000
相殺時の仕訳
簿記3級レベル
問題:X社に対する未収入金8,000円と未払金10,000円をX社の承諾を得て相殺し、差額の2,000円を現金で支払った。
(貸)未収入金 8,000
(貸)現金 2,000
譲渡時の仕訳
簿記2級レベル
問題:X社に対する未収入金15,000円をX社の承諾を得てZ社に譲渡し、現金14,000円を受け取った。
(借)債権売却損 1,000
(貸)未収入金 15,000
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