第2回の各問題の難度・解答時間の目安
簿記ナビ模試(簿記3級)の第2回の各問題の難度・解答時間の目安は以下のとおりです。
- 第1問:普通(20分)
- 第2問:やや難しい(20分)
- 第3問:普通(20分)
1回目は解答時間を気にせずにすべての問題を解いてください。点数も気にする必要はありませんが、解きっぱなしにせず間違えたところはテキストに戻ってしっかり復習しましょう。
2回目以降は各問題の難度・解答時間の目安を頭に入れたうえで、本試験を意識して「時間配分」や「解答順序」などに気を配りながら解いてみましょう。
第1問の詳細解説
第1問は仕訳問題15問です。
問5の「送金小切手」や問6の「人名勘定」、問8の「固定資産の売却」などはやや難しいかもしれませんが、その他の問題の難度はやや簡単~普通レベルです。ケアレスミスに気をつけて(特に問3・問11)高得点を狙いましょう。
問1 当座借越(決算処理)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ア(当座預金) | 250,000 | オ(当座借越) | 250,000 | ||
当座借越(決算処理)に関する問題です。
決算において、当座預金が貸方残(=マイナス残高)になっている場合、当座預金を当座借越または借入金に振り替えます。
本問の場合、問題文に「適切な勘定に振り替える」という指示があるだけで勘定科目の指定はありませんが、問題に列挙されている勘定科目の中に当座借越がある(借入金がない)ので、当座預金を当座借越に振り替えると判断します。
(貸)当座借越 250,000
なお、決算整理仕訳で当座預金を当座借越に振り替えた場合、翌期首において再振替仕訳(当座借越を当座預金に振り替える仕訳)を行います。参考までに、以下の仕訳をご確認ください。
(貸)当座預金 250,000
問2 債権の回収(前期に貸倒れ処理)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(普通預金) | 100,000 | エ(償却債権取立益) | 100,000 | ||
債権の回収(前期に貸倒れ処理)に関する問題です。
債権の回収は、債権を貸倒れ処理したタイミング(前期以前or当期)によって処理が異なります。仕訳を考えるさいは、いつ貸倒れ処理したものなのかを必ず確認しましょう。
- 前期以前に貸倒れ処理した債権の回収:過年度の貸倒れの仕訳を修正することができないため、回収額の全額を償却債権取立益で処理します。
- 当期に貸倒れ処理した債権の回収:貸倒れの仕訳を修正することができるため、貸倒れ処理時に計上した貸倒損失や貸倒引当金の金額を修正します。
本問は、問題文に「前期に貸倒れ処理していた得意先に対する売掛金 ¥ 500,000 のうち ¥ 100,000 が回収され」とあるので、回収額100,000円を償却債権取立益で処理します。
なお、問題文の「貸倒引当金の残高は ¥ 250,000 である」は、解答に関係のないダミーデータです。うっかり貸倒引当金を増減しないように気をつけましょう。
問3 仕入取引(販売用の固定資産)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
カ(仕入) | 530,000 | ※1 | ウ(買掛金) | 500,000 | |
ア(現金) | 30,000 | ||||
※1 500,000円+30,000円=530,000円(貸借差額)
仕入取引(販売用の固定資産)に関する問題です。
本問は、取引を「掛けによる仕入取引」と「輸送費用に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
掛けによる仕入取引
企業外部の第三者に販売するために固定資産を購入した場合、その固定資産は「商品」に分類されます。通常の商品を仕入れたときと同様に仕入・買掛金で処理しましょう。
問題文の「中古の軽トラックを…購入」につられて、車両運搬具・未払金で処理しないように気をつけてください。
- 外部に販売するために固定資産を購入した場合:商品として取り扱う
- 社内で使用するために固定資産を購入した場合:固定資産として取り扱う
(貸)買掛金 500,000
輸送費用に関する取引
商品の輸送費や引取運賃など、商品を仕入れるさいに発生する費用(付随費用)を仕入諸掛りといいます。
本問のように、仕入諸掛りを当社・仕入先のどちらが負担するのか明確な指示がない場合は、当社が負担すると考えて仕入原価に含めて処理します。
- 当社負担:仕入原価に含めて処理
- 仕入先負担:立替金で処理or買掛金から差し引いて処理
- 当社負担:発送費などで費用処理
(貸)現金 30,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問4 社会保険料の天引き
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(給料) | 4,000,000 | カ(社会保険料預り金) | 500,000 | ※2 | |
オ(普通預金) | 3,500,000 | ※3 | |||
※2 200,000円+300,000円=500,000円
※3 4,000,000円-500,000円=3,500,000円(貸借差額)
社会保険料の天引きに関する問題です。
本問は、取引を「社会保険料の天引きに関する取引」と「残額の支払いに関する取引」の2つに分けて考えましょう。
社会保険料の天引きに関する取引
問題文の「従業員が負担すべき社会保険料(健康保険料 ¥ 200,000 および厚生年金保険料 ¥ 300,000 )を差し引き」から、給料の支払いにあたって従業員が負担すべき社会保険料を天引きしたことが分かるので、社会保険料預り金の増加として処理します。
(貸)社会保険料預り金 500,000
残額の支払いに関する取引
問題文に「残額を普通預金口座から振り込んだ」とあるので、残額3,500,000円(=4,000,000円-500,000円)を普通預金の減少として処理します。
(貸)普通預金 3,500,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問5 現金過不足(期中に判明)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ア(現金) | 2,000 | ※4 | エ(現金過不足) | 2,000 | |
※4 (362,000円+100,000円+10,000円)-470,000円=2,000円
現金過不足(期中に判明)に関する問題です。
簿記では、通貨(硬貨・紙幣)だけでなく通貨代用証券(=すぐに現金に交換できるもの)も現金として取り扱います。
- 通貨(硬貨・紙幣)
- 通貨代用証券(他人振出小切手・送金小切手・郵便為替証書など)
本問はまず、金庫に保管されているものの中から、現金として処理する通貨および通貨代用証券をピックアップしましょう。
- 紙幣・硬貨 362,000円:通貨
- 得意先振出小切手 100,000円:通貨代用証券
- 得意先振出約束手形 150,000円:受取手形
- 収入印紙 2,000円:租税公課(または貯蔵品)
- 送金小切手 10,000円:通貨代用証券
ピックアップした結果、現金の実際有高が472,000円(=362,000円+100,000円+10,000円)であることが分かるので、帳簿残高とのズレを現金過不足を使って修正しましょう。
なお、現金過不足の仕訳を考えるさいは、金額を実際有高に合わせるのがポイントです。本問の場合、実際有高のほうが2,000円多いので、同額だけ現金の帳簿残高を増やしてズレを調整します。
(貸)現金過不足 2,000
- 現金の実際有高:472,000円
- 現金の帳簿残高:470,000円
- ズレ(差額)=472,000円-470,000円=2,000円
- 現金の実際有高:472,000円
- 現金の帳簿残高:470,000円+2,000円=472,000円
- ズレ(差額)=0円
問6 商品券の受け取り
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
カ(受取商品券) | 400,000 | オ(売上) | 600,000 | ||
イ(毛利商店) | 200,000 | ※5 | |||
※5 600,000円-400,000円=200,000円(貸借差額)
商品券の受け取りに関する問題です。
本問は、取引を「商品券による売上取引」と「掛けによる売上取引」の2つに分けて考えましょう。
商品券による売上取引
問題文に「代金のうち ¥ 400,000 は自治体が発行した商品券を受け取り」とあるので、受取商品券の増加として処理します。
(貸)売上 400,000
掛けによる売上取引
問題文に「残額は掛けとした」とあるので、残額200,000円(=600,000円-400,000円)を売掛金の増加として処理し…たいところですが、問題に列挙されている勘定科目の中に売掛金がありません。
代わりに「毛利商店」「小早川商店」という人名勘定があるので、本問は売掛金ではなく「●●商店」という人名勘定で解答すると判断します。毛利商店に対する債権は、毛利商店で処理しましょう。
(貸)売上 200,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問7 預金取引(複数口座間の移動)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
エ(普通預金穂井田銀行) | 800,000 | イ(普通預金吉川銀行) | 800,275 | ※6 | |
オ(支払手数料) | 275 | ||||
※6 800,000円+275円=800,275円(貸借差額)
預金取引(複数口座間の移動)に関する問題です。
本問は、取引を「資金の移動に関する取引」と「振込手数料に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
資金の移動に関する取引
本問は、問題に列挙されている勘定科目から、当座預金や普通預金について口座ごとに勘定を設定していることが分かるので、普通預金の増減は普通預金●●銀行という勘定で処理します。
問題文に「吉川銀行の普通預金口座から穂井田銀行の普通預金口座に ¥ 800,000 を振り込んだ」とあるので、普通預金穂井田銀行の増加および普通預金吉川銀行の減少として処理しましょう。
(貸)普通預金吉川銀行 800,000
振込手数料に関する取引
資金の移動にあたって発生した振込手数料は、支払手数料で処理します。なお、振込手数料は振り込んだほうの口座(本問の場合は吉川銀行の普通預金口座)から引き落とされます。
(貸)普通預金吉川銀行 275
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問8 固定資産の売却(期中)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(減価償却費) | 75,000 | ※7 | エ(備品) | 900,000 | |
ア(備品減価償却累計額) | 300,000 | ※8 | オ(固定資産売却益) | 25,000 | ※9 |
カ(未収入金) | 550,000 | ||||
※7 (900,000円÷60か月)×5か月=75,000円
※8 (900,000円÷60か月)×20か月=300,000円
※9 75,000円+300,000円+550,000円-900,000円=25,000円(貸借差額)
固定資産の売却(期中)に関する問題です。
固定資産の売却に関する仕訳は、以下の5つのステップで考えると分かりやすいです。
-
ステップ1取得原価を貸方に計上する
-
ステップ2当期の減価償却費を計上する
-
ステップ3前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する
-
ステップ4売却代金を借方に計上する
-
ステップ5貸借差額を売却損益で処理する
ステップ1(取得原価を貸方に計上する)
問題文の「フルカラー複合機」「取得原価:¥ 900,000」から、取得原価900,000円の備品を売却したことが分かるので、備品を貸方に計上します。
ステップ2(当期の減価償却費を計上する)
問題文の「フルカラー複合機…を、×4年8月20日に ¥ 550,000 で売却」「当社の決算日は3月31日」から、備品を期中に売却したことが分かります。
また、問題文に「取得年度および売却年度の減価償却費は月割りで計算する」とあるので、当期の4月1日から8月20日までの5か月分の減価償却費を月割りで計算しましょう。
- 当期首から売却日までの期間:5か月(×4年4月1日~×4年8月20日)
- 1年分の減価償却費:900,000円÷5年=180,000円
- 1か月分の減価償却費:180,000円÷12か月=15,000円
- 5か月分の減価償却費:15,000円×5か月=75,000円
(貸)備品 900,000
ステップ3(前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する)
問題文の「×2年8月21日に取得した」から、前期末(×4年3月31日)までに20か月分の減価償却費を計上していたことが分かります。20か月分の金額を月割りで計算して、備品減価償却累計額を借方に計上しましょう。
- 購入日から前期末までの期間:20か月(×2年8月21日~×4年3月31日)
- 1年分の減価償却費:900,000円÷5年=180,000円
- 1か月分の減価償却費:180,000円÷12か月=15,000円
- 20か月分の減価償却費:15,000円×20か月=300,000円
(借)備品減価償却累計額 300,000
(貸)備品 900,000
ステップ4(売却代金を借方に計上する)
問題文の「 ¥ 550,000 で売却し、売却代金は月末に受け取ることにした」から、売却代金550,000円を後日受け取ることが分かるので、借方に未収入金を計上します。
(借)備品減価償却累計額 300,000
(借)未収入金 550,000
(貸)備品 900,000
ステップ5(貸借差額を売却損益で処理する)
最後に貸借差額を固定資産売却益で処理します。
(借)備品減価償却累計額 300,000
(借)未収入金 550,000
(貸)備品 900,000
(貸)固定資産売却益 25,000
本問の場合、購入月は21日から、売却月は20日までしか備品を所有していませんが、当期の減価償却費・前期末の減価償却累計額の計算にあたっては、1か月まるまる使ったとみなして金額を計算します。
問9 仕入取引(仕入先負担の仕入諸掛り)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
イ(仕入) | 200,000 | ウ(買掛金) | 197,000 | ※10 | |
カ(現金) | 3,000 | ||||
※10 200,000円-3,000円=197,000円(貸借差額)
仕入取引(仕入先負担の仕入諸掛り)に関する問題です。
本問は、取引を「掛けによる仕入取引」と「配送料に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
掛けによる仕入取引
問題文に「代金は掛けとした」とあるので、商品代金200,000円を買掛金の増加として処理します。
(貸)買掛金 200,000
配送料に関する取引
商品の配送費用や引取運賃など、商品を仕入れるさいに発生する費用(付随費用)を仕入諸掛りといいます。
本問は、問題文の「宍戸商店が負担することになっている配送料 ¥ 3,000 を現金で立て替え払いした」から、仕入先負担の仕入諸掛りを立て替えて支払ったことが分かります。
仕入先負担の仕入諸掛りの処理方法は「立替金を計上する」と「買掛金から差し引く」の2パターンがありますが、本問は問題に列挙されている勘定科目の中に買掛金がある(立替金がない)ので、買掛金から差し引いて処理すると判断します。
- 当社負担:仕入原価に含める
- 仕入先負担:立替金を計上する or 買掛金から差し引く
- 当社負担:発送費などで費用処理する
(貸)現金 3,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問10 固定資産税の納付(未払金を計上しない方法)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
エ(租税公課) | 130,000 | イ(現金) | 130,000 | ||
固定資産税の納付(未払金を計上しない方法)に関する問題です。
固定資産税は、建物や土地などの固定資産を1月1日時点で保有している人に課せられる税金です。
その年の納税額が確定すると、課税主体(税金を徴収する側)である市町村などから、「固定資産税は●●●円です。4回に分けて納付してください。」という内容の納税通知書が送られてきます。
簿記3級では主に固定資産税を納付した時の仕訳が問われますが、納税通知書を受け取った時の処理方法により納付した時の仕訳が異なるため注意が必要です。
- 受け取った時に何もしない
- 受け取った時に未払金を計上する
本問は、問題に列挙されている勘定科目の中に未払金がないので、①の「納税通知書を受け取った時に何もしない方法」で処理すると判断します。
納税通知書を受け取った時に何もしない方法
納税通知書を受け取った時には何も処理をせず、納付した時に納付額を租税公課で処理します。
本問は、問題文に「固定資産税 ¥ 520,000 の納税通知書を受け取り、第1期分 ¥ 130,000 を現金で納付した」とあるので、第1期分の納付に関する処理のみを行います。
(貸)現金 130,000
(貸)現金など 130,000
(貸)現金など 130,000
(貸)現金など 130,000
参考:納税通知書を受け取った時に未払金を計上する方法
納税通知書を受け取った時に4期分の租税公課を計上するとともに未払金の増加として処理し、納付時に未払金の減少として処理します。参考までに、以下の仕訳をご確認ください。
(貸)未払金 520,000
(貸)現金など 130,000
(貸)現金など 130,000
(貸)現金など 130,000
(貸)現金など 130,000
問11 債権の貸倒れ(当期発生)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
オ(貸倒損失) | 100,000 | ア(売掛金) | 100,000 | ||
債権の貸倒れ(当期発生)に関する問題です。
債権の貸倒れは、債権の発生時期(前期以前or当期)によって処理が異なります。仕訳を考えるさいは、貸倒れた債権がいつ発生したのかを必ず確認しましょう。
- 前期以前に発生した債権の貸倒れ:前期の決算を通過しているので貸倒引当金の設定対象になっています。よって、この債権が貸倒れた場合は貸倒引当金を取り崩して処理し、不足分があれば貸倒損失で処理します。
- 当期に発生した債権の貸倒れ:前期の決算を通過していないので貸倒引当金の設定対象になっていません。よって、この債権が貸倒れた場合は全額を貸倒損失で処理します。
本問は、問題文に「当期中に発生した売掛金 ¥ 100,000 が貸し倒れた」とあるので、全額を貸倒損失で処理します。
- 貸倒れた金額<貸倒引当金:全額を貸倒引当金で処理
- 貸倒れた金額>貸倒引当金:貸倒引当金を全額取り崩し、不足分を貸倒損失で処理
- 全額を貸倒損失で処理
なお、問題文の「貸倒引当金の残高は ¥ 150,000 である」は、解答に関係のないダミーデータです。うっかり貸倒引当金を取り崩さないように気をつけましょう。
問12 法人税等(決算処理)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ア(法人税等) | 420,000 | ※11 | エ(仮払法人税等) | 240,000 | |
ウ(未払法人税等) | 180,000 | ※12 | |||
※11 1,400,000円×30%=420,000円
※12 420,000円-240,000円=180,000円(貸借差額)
法人税等(決算処理)に関する問題です。
本問は、取引を「中間納付に関する取引」と「未払分に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
中間納付に関する取引
本問はまず、問題文の「税引前当期純利益 ¥ 1,400,000 の30%を法人税等に計上した」から、当期の法人税等の金額を計算しましょう。
法人税等の金額:1,400,000円×30%=420,000円
また、問題文の「当社はすでに ¥ 240,000 を中間納付しており、仮払法人税等で処理している」から、法人税等を中間納付していることが分かるので、決算において仮払法人税等を法人税等に振り替えます。
(貸)仮払法人税等 240,000
未払分に関する取引
当期の法人税等420,000円のうち、240,000円は仮払法人税等を振り替えて処理したので、残りの180,000円(=420,000円-240,000円)を未払法人税等で処理します。
(貸)未払法人税等 180,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
なお、法人税等(決算処理)に関する問題は、以下のような手順で簡単に処理することもできます。参考までに解答手順をご確認ください。
- 当期の法人税等の金額を計算し、借方に「法人税等」を計上する。
- 中間納付の有無を確認し、もしあれば貸方に「仮払法人税等」を計上する。
- 貸借差額を計算し、貸方に「未払法人税等」を計上する。
- 借方に「法人税等 420,000円」を計上する。
- 貸方に「仮払法人税等 240,000円」を計上する。
- 貸方に「未払法人税等 180,000円」を計上する。
問13 固定資産の賃借(差入保証金)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
イ(前払家賃) | 400,000 | オ(現金) | 1,800,000 | ※13 | |
カ(支払手数料) | 200,000 | ||||
ウ(差入保証金) | 1,200,000 | ||||
※13 400,000円+200,000円+1,200,000円=1,800,000円(貸借差額)
固定資産の賃借(差入保証金)に関する問題です。
本問は、取引を「家賃に関する取引」と「仲介手数料に関する取引」と「敷金に関する取引」の3つに分けて考えましょう。
家賃に関する取引
問題文の「新店舗の賃貸借契約を締結し、2か月分の家賃 ¥ 400,000 …現金で支払った」から、入居前に家賃を前払いしたことが分かります。
家賃を前払いした時の処理方法は「前払家賃(前払費用)で処理する」と「支払家賃で処理する」の2パターンがありますが、本問は問題に列挙されている勘定科目の中に前払家賃がある(支払家賃がない)ので、前払家賃で処理すると判断します。
(貸)現金 400,000
仲介手数料に関する取引
問題文の「不動産会社への仲介手数料 ¥ 200,000 …を現金で支払った」から、不動産会社に仲介手数料を支払ったことが分かるので、支払手数料で処理します。
(貸)現金 200,000
敷金に関する取引
問題文の「敷金 ¥ 1,200,000 を現金で支払った」から、保証金の性質を持つ敷金を支払ったことが分かるので、差入保証金の増加として処理します。
(貸)現金 1,200,000
まとめ
以上、①②③の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問14 貯蔵品の決算処理
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
エ(貯蔵品) | 18,400 | ※14 | カ(通信費) | 8,400 | |
イ(租税公課) | 10,000 | ||||
※14 8,400円+10,000円=18,400円(貸借差額)
貯蔵品の決算処理に関する問題です。
郵便切手や収入印紙を購入した場合は、購入代金の全額を通信費・租税公課で処理します。
(借)租税公課 ×××
(貸)現金など ×××
決算において収入印紙・郵便切手の未使用分がある場合には、未使用分の通信費・租税公課を貯蔵品に振り替えます。
(貸)通信費 8,400
(貸)租税公課 10,000
なお、決算整理仕訳で通信費・租税公課を貯蔵品に振り替えた場合、翌期首において再振替仕訳(貯蔵品を通信費・租税公課に再度振り替える仕訳)を行います。
(借)租税公課 10,000
(貸)貯蔵品 18,400
問15 証ひょうによる売上取引
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
オ(売掛金) | 561,000 | ア(売上) | 510,000 | ||
イ(仮受消費税) | 51,000 | ||||
証ひょうによる売上取引に関する問題です。
本問は、取引を「掛けによる売上取引」と「消費税に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
掛けによる売上取引
問題文に「代金は全額を掛けとした」とあるので、商品代金510,000円を売掛金の増加として処理します。
(貸)売上 510,000
消費税に関する取引
問題資料の証ひょう(納品書兼請求書)に計上されている消費税51,000円は、売上に含めずに仮受消費税で処理します。
- 支払時:支払額を仮払消費税で処理する
- 受取時:受取額を仮受消費税で処理する
(貸)仮受消費税 51,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
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書籍の大きさもコンパクトサイズ(縦が約18cm、横が約11cm)なので、小さいバッグなどにも入れやすくて持ち運びしやすいです。ちょっとした空き時間を有効活用したい方にもおすすめの1冊です。
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