第1回の各問題の難度・解答時間の目安
簿記ナビ模試(簿記2級)の第1回の各問題の難度・解答時間の目安は以下のとおりです。
- 第1問:普通(15分)
- 第2問:簡単(20分)
- 第3問:普通(25分)
- 第4問:普通(20分)
- 第5問:簡単(10分)
1回目は解答時間を気にせずにすべての問題を解いてください。点数も気にする必要はありませんが、解きっぱなしにせず間違えたところはテキストに戻ってしっかり復習しましょう。
2回目以降は各問題の難度・解答時間の目安を頭に入れたうえで、本試験を意識して「時間配分」や「解答順序」などに気を配りながら解いてみましょう。
第5問の詳細解説
直接原価計算のCVP分析に関する問題です。
本問では高低点法による処理が問われており、正常操業圏内(4,800個~7,200個)のデータをきちんと読み取れるかどうかが最初のポイントになります。
正常操業圏外のデータ(11月・2月)を使っても問1~問4まで全て割り切れるように作ってあるので、序盤のデータの取捨選択を間違えるとドエライことになります。ご注意ください。
問1 正常操業圏における売上高の最高額と最低額
問題文の「月間生産量6,000個の80%から120%までを正常操業圏としており」から、正常操業圏の個数を計算しましょう。
- 月間生産量6,000個×80%=4,800個(下限)
- 月間生産量6,000個×120%=7,200個(上限)
- 正常操業圏:4,800個~7,200個
正常操業圏の個数が「4,800個から7,200個までの間」ということが分かったら、問題資料の過去1年間の生産・販売量のデータの中から最低生産量(4,900個)と最高生産量(7,200個)のデータをピックアップしましょう。
なお、11月の7,300個、2月の4,700個は正常操業圏の範囲外なので、問題資料をチェックするさいにこれらのデータには打ち消し線を引いて除外しておきましょう。
また、問1では生産・販売量ではなく売上高が問われているので、生産・販売量に1個あたりの販売価格500円(※問題資料より)を掛けて、売上高の最高額と最低額を求めましょう。
- 正常操業圏における売上高の最高額:7,200個×@500円=3,600,000円
- 正常操業圏における売上高の最低額:4,900個×@500円=2,450,000円
問2 総原価の原価分解
製品1個あたりの変動費は、「最多生産量と最少生産量の総原価と個数の差」を使って算定します。
- 最多生産量:7,200個(9月)
- 最少生産量:4,900個(6月)
- 最多生産量の総原価:3,180,000円
- 最少生産量の総原価:2,835,000円
- 製品1個あたりの変動費:(3,180,000円-2,835,000円)÷(7,200個-4,900個)=@150円
また、月間固定費は1個あたりの変動費と個数から変動費を計算したうえで、総原価から変動費を差し引いて算定します。この計算は6月のデータを使っても9月のデータを使っても、どちらでも構いません。
- 6月のデータを使って月間固定費を計算する場合
- 変動費:4,900個×@150円=735,000円
- 月間固定費:2,835,000円-735,000円=2,100,000円
- 9月のデータを使って月間固定費を計算する場合
- 変動費:7,200個×@150円=1,080,000円
- 月間固定費:3,180,000円-1,080,000円=2,100,000円
総原価と生産・販売量の関係をグラフで表すと以下のような形になります。問題を解くうえではグラフは必要ありませんが、参考までにご確認ください。
問3 月間損益分岐点売上高
損益分岐点売上高は「貢献利益=固定費(貢献利益-固定費=0)」となる売上高なので、月間固定費を製品1個あたりの貢献利益で割って販売量を計算し、その販売量に販売価格を掛けて売上高を計算しましょう。
- 製品1個あたりの販売価格:@500円
- 製品1個あたりの変動費:@150円
- 製品1個あたりの貢献利益:@350円(=@500円-@150円)
- 月間固定費:2,100,000円
- 2,100,000円÷350円=6,000個
- 6,000個×@500円=3,000,000円
または、販売価格500円と1個あたりの変動費150円から変動費率0.3(=150円÷500円)を計算したうえで、売上高をSと置いたときの「貢献利益=固定費」という1次方程式を作り、Sの金額を求めることも可能です。
- 売上高:S
- 変動費:0.3S
- 貢献利益:0.7S(=S-0.3S)
- 月間固定費:2,100,000円
- 0.7S=2,100,000円
- S=3,000,000円
問4 月間目標販売量
月間目標売上高は「貢献利益-固定費=目標営業利益」となる売上高なので、問3と同じように売上高をSと置いて1次方程式を作り、Sの金額を求めましょう。
なお、売上高営業利益率(%)の計算式は「営業利益÷売上高×100」なので、売上高営業利益率17.5%を達成する営業利益をSを使って表すと、0.175Sになります。
- 売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
- 上記の計算式に売上高営業利益率に17.5、売上高にSを代入すると…
- 17.5=営業利益÷S×100
- 営業利益=0.175S
- 売上高:S
- 変動費:0.3S
- 貢献利益:0.7S(=S-0.3S)
- 月間固定費:2,100,000円
- 目標営業利益:0.175S
- 0.7S-2,100,000円=0.175S
- S=4,000,000円
また、本問では月間目標売上高ではなく月間目標販売量が問われているので、解答にあたっては月間目標売上高を1個あたりの販売価格500円で割って販売量を計算しましょう。
- 4,000,000円÷@500円=8,000個
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お世話になります。
いつもホームページで勉強させて頂いてます。ありがとうございます。
質問なのですが、二級模擬試験第5問
①正常操業圏の最低額が6000×80%×500=2400000になってしまうのですが、4900個はどこから来た数字になりますか?
②高低点法の最高は11月、最低は2月かと思うのですが、いかがでしょうか。
初心者で分からないことがたくさんで、勘違いであればすみません。
どうぞ宜しくお願いします。
コメントありがとうございます。
①4,900個は6月の生産・販売量です。本問の正常操業圏の下限は4,800個ですが、それはあくまでも「4,800個以上を生産・販売していれば正常と判断する」というだけです。4,800個を使って最低額を計算するわけではない点にご注意ください。
②解説にもきちんと書いていますが、11月の7,300個と2月の4,700個は正常操業圏(4,800個~7,200個)の範囲外なので、問1の「正常操業圏における売上高の最高額と最低額」の計算で使うことはできません。
【問1の解答の流れ】
正常操業圏は4,800個~7,200個。
↓
この範囲の中で一番多いのが9月の7,200個、一番少ないのが6月の4,900個。
↓
7,200個のデータを使って売上高の最高額を計算し、4,900個のデータを使って売上高の最少額を計算する。
高低点法の仕組み自体は簡単です。
おそらく勘違いしているだけだと思いますので、一度じっくり考えてみてくださいね。勉強がんばってください!
意味が分かりました!
丁寧に解説して頂き、
ありがとうございました♡