第1回の各問題の難度・解答時間の目安
簿記ナビ模試(簿記2級)の第1回の各問題の難度・解答時間の目安は以下のとおりです。
- 第1問:普通(15分)
- 第2問:簡単(20分)
- 第3問:普通(25分)
- 第4問:普通(20分)
- 第5問:簡単(10分)
1回目は解答時間を気にせずにすべての問題を解いてください。点数も気にする必要はありませんが、解きっぱなしにせず間違えたところはテキストに戻ってしっかり復習しましょう。
2回目以降は各問題の難度・解答時間の目安を頭に入れたうえで、本試験を意識して「時間配分」や「解答順序」などに気を配りながら解いてみましょう。
第1問の詳細解説
第1問は仕訳問題5問です。
5問ともやや簡単~普通レベルの問題なので、ケアレスミスに気をつけて20点満点を狙いましょう。
問1 有価証券の売却
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(普通預金) | 496,000 | カ(売買目的有価証券) | 490,000 | ||
ア(有価証券利息) | 5,050 | ※1 | |||
キ(有価証券売却益) | 950 | ※2 | |||
※1 500,000円×3.65%×101日/365日=5,050円
※2 496,000円-490,000円-5,050円=950円(貸借差額)
有価証券の売却に関する問題です。
本問は、取引を「利息の受け取りに関する取引」と「有価証券の売却に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
利息の受け取りに関する取引
問題文の「×2年1月9日」「利払日:9月末日と3月末日の年2回」「前回の利払日の翌日から売却日までの期間に相当する金額を日割りで計算する」から、前回の利払日の翌日(10月1日)から売却日(1月9日)までの101日分(31日+30日+31日+9日)の端数利息を計算します。
端数利息=500,000円×3.65%×101日/365日=5,050円
(貸)有価証券利息 5,050
有価証券の売却に関する取引
有価証券を売却した場合、帳簿価額と売却価額との差額を売却損益で処理します。売却価額は「端数利息を含めた金額 ¥ 496,000 」から、上で求めた端数利息を差し引いて求めましょう。
- 帳簿価額:490,000円
- 売却価額:496,000円-5,050円=490,950円
- 売却損益:490,950円-490,000円=950円(売却益)
また、問題文に「売買目的で保有している」とあるので、勘定科目は売買目的有価証券と有価証券売却益で処理しましょう。
- 売買目的:売買目的有価証券
- 満期保有目的:満期保有目的債券
- 影響力行使目的:関連会社株式
- 支配目的:子会社株式
- 上記のいずれにも該当しない(ex.長期保有目的):その他有価証券
(貸)売買目的有価証券 490,000
(貸)有価証券売却益 950
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問2 ソフトウェア
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(ソフトウェア) | 1,700,000 | ※3 | キ(ソフトウェア仮勘定) | 2,000,000 | |
カ(保守費) | 300,000 | ||||
※3 2,000,000円-300,000円=1,700,000円(貸借差額)
ソフトウェアに関する問題です。
本問は、取引を「ソフトウェア仮勘定に関する取引」と「保守費用に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
ソフトウェア仮勘定に関する取引
問題文の「外部に開発を依頼していた社内利用目的のソフトウェア(開発費用 ¥ 2,000,000 はすでに支払済み)」から、開発費用の全額を前払いしていたことが分かります。
(貸)現金など 2,000,000
上記の仕訳を踏まえたうえで、問題文に「本日から使用を開始したためソフトウェア勘定に振り替えた」とあるので、前払時に計上していたソフトウェア仮勘定をソフトウェアに振り替えます。
(貸)ソフトウェア仮勘定 2,000,000
保守費用に関する取引
問題文の「開発費用の中に使用開始後にかかるシステム関係の保守費用 ¥ 300,000 が含まれていることが判明した」から、ソフトウェアに振り替えた2,000,000円の中に保守費用が含まれていたことが分かるので、300,000円をさらに保守費に振り替えます。
(貸)ソフトウェア 300,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
参考:保守費用の勘定科目
保守費用を保守費ではなく前払費用や長期前払費用で処理するケースも考えられます。参考までに仕訳をご確認ください。
(借)前払費用 300,000
(貸)ソフトウェア仮勘定 2,000,000
(借)長期前払費用 300,000
(貸)ソフトウェア仮勘定 2,000,000
問3 未渡小切手
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(当座預金) | 308,000 | ※4 | カ(未払金) | 110,000 | |
イ(買掛金) | 198,000 | ||||
※4 110,000円+198,000円=308,000円(貸借差額)
未渡小切手に関する問題です。
小切手を振り出し、支払いが完了したものとして処理していたが、実は小切手を先方に渡しておらず手元に残ったままになっていることがあります。このような小切手を「未渡小切手」といいます。
未渡小切手の存在が判明した場合、当座預金の減少を取り消す(=当座預金を増加として処理する)とともに、買掛金の未払いに関しては買掛金で、その他の未払いについては未払金で処理します。
本問は「広告宣伝費の支払いのために作成した小切手 ¥ 110,000 」と「掛代金の支払いのために作成した小切手 ¥ 198,000 」が未渡しの状態になっているので、以下のように処理します。
- 広告宣伝費の支払いのために作成した小切手 ¥ 110,000 の未渡し:未払金の増加
- 掛代金の支払いのために作成した小切手 ¥ 198,000 の未渡し:買掛金の増加
(借)買掛金 198,000
(貸)当座預金 308,000
(貸)未払金 110,000
(貸)買掛金 198,000
問4 固定資産の修繕
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
イ(建物) | 1,200,000 | ※5 | カ(普通預金) | 3,000,000 | |
ア(修繕引当金) | 1,500,000 | ||||
オ(修繕費) | 300,000 | ※6 | |||
※5 3,000,000円×40%=1,200,000円
※6 3,000,000円-1,200,000円-1,500,000円=300,000円(貸借差額)
固定資産の修繕に関する問題です。
本問は、取引を「資本的支出(改良)に関する取引」と「収益的支出(修繕)に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
資本的支出(改良)に関する取引
問題文の「工事代金の40%は建物の耐震機能を向上させる効果があるものと認められた」から、工事代金の40%が資本的支出、残りの60%が収益的支出に分類されることが分かります。
- 資本的支出(固定資産の価値を高めるような支出):固定資産の増加として処理
- 収益的支出(固定資産の諸機能を維持するための支出):修繕費や修繕引当金で処理
- 資本的支出=3,000,000円×40%=1,200,000円
- 収益的支出=3,000,000円-1,200,000円=1,800,000円
よって、工事代金の1,200,000円は建物の増加として処理します。
(貸)普通預金 1,200,000
収益的支出(修繕)に関する取引
上述のとおり、工事代金の残額1,800,000円は収益的支出に分類されます。
また、問題文に「修繕引当金の残高は ¥ 1,500,000 である」とあるので、1,800,000円のうちの1,500,000円は修繕引当金を取り崩して処理し、残りの300,000円(=1,800,000円-1,500,000円)は修繕費で処理します。
(借)修繕費 300,000
(貸)普通預金 1,800,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問5 本支店会計
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
ウ(損益) | 180,000 | ア(支店) | 180,000 | ||
本支店会計に関する問題です。
本問は、支店の当期純損失の振り替えにかかる本店の仕訳が問われています。
問題文に「本店は支店から「当期純損失 ¥ 180,000 を計上した」との報告を受けた」とあるので、支店は(支店の)損益勘定で計算した当期純損失180,000円を本店勘定に振り替えるとともに、本店は支店の当期純損失180,000円を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。
(貸)損益 180,000
(貸)支店 180,000
参考:本支店会計の決算振替の流れ
上記の説明で理解できる方は、以下の解説を読む必要はありません。うまく理解できない方は、本支店会計の決算振替の流れを順番に確認してみましょう。
ステップ1(収益・費用の振り替え)
本支店会計では、決算振替において本店・支店がそれぞれの諸収益・諸費用を損益勘定に振り替えて当期純利益(または純損失)を計算します。
実際に金額を入れたほうが分かりやすいので、仮に本店の諸収益を1,000、諸費用を400、支店の諸収益を600、諸費用を800として、本店と支店の仕訳を考えてみましょう。
(貸)損益 1,000
(借)損益 400
(貸)諸費用 400
(貸)損益 600
(借)損益 800
(貸)諸費用 800
この時点の本店の損益勘定は600の貸方残、支店の損益勘定は200の借方残になります。なお、この借方残・貸方残は当期純利益(または純損失)の金額と一致します。
- 本店の当期純利益:1,000-400=600
- 支店の当期純損失:600-800=▲200
ステップ2(支店の純損失の振り替え)
支店は(支店の)損益勘定で計算した当期純損失200を本店勘定に振り替えるとともに、本店は支店の当期純損失200を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。
(貸)損益 200
(貸)支店 200
この時点の本店の損益勘定は400の貸方残になりますが、これは本店の当期純利益600と支店の当期純損失200を合計した金額と一致します。
ステップ3(会社全体の純利益の振り替え)
本店の損益勘定の貸方残400を繰越利益剰余金勘定に振り替えます。
(貸)繰越利益剰余金 400
本問で問われている仕訳は?
本問は、ステップ2の本店の仕訳が問われています。
(貸)支店 ×××
問題文に「本店は支店から「当期純損失 ¥ 180,000 を計上した」との報告を受けた」とあるので、支店の当期純損失180,000円を支店勘定を経由して(本店の)損益勘定に受け入れます。
(貸)支店 180,000
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