第2回の各問題の難度・解答時間の目安
簿記ナビ模試(簿記2級)の第2回の各問題の難度・解答時間の目安は以下のとおりです。
- 第1問:簡単(10分)
- 第2問:普通(30分)
- 第3問:普通(20分)
- 第4問:普通(20分)
- 第5問:簡単(10分)
1回目は解答時間を気にせずにすべての問題を解いてください。点数も気にする必要はありませんが、解きっぱなしにせず間違えたところはテキストに戻ってしっかり復習しましょう。
2回目以降は各問題の難度・解答時間の目安を頭に入れたうえで、本試験を意識して「時間配分」や「解答順序」などに気を配りながら解いてみましょう。
第1問の詳細解説
第1問は仕訳問題5問です。
5問とも基本レベルの問題なので、ケアレスミスに気をつけて20点満点を狙いましょう。
問1 固定資産の売却
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
イ(減価償却費) | 240,000 | ※1 | エ(車両運搬具) | 2,400,000 | |
カ(車両運搬具減価償却累計額) | 1,440,000 | ※2 | キ(固定資産売却益) | 80,000 | ※3 |
ウ(営業外受取手形) | 800,000 | ||||
※1 2,400,000円×1万キロ/10万キロ=240,000円
※2 2,400,000円×6万キロ/10万キロ=1,440,000円
※3 240,000円+1,440,000円+800,000円-2,400,000円=80,000円(貸借差額)
固定資産の売却に関する問題です。
間接法で記帳している場合の売却の仕訳は、以下の5ステップで考えると分かりやすいです。
-
ステップ1取得原価を貸方に計上する
-
ステップ2当期の減価償却費を計上する
-
ステップ3前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する
-
ステップ4売却代金を借方に計上する
-
ステップ5貸借差額を売却損益で処理する
ステップ1(取得原価を貸方に計上する)
問題文の「社用車…を…売却し」「取得原価 ¥ 2,400,000」から、取得原価2,400,000円の社用車を売却したことが分かるので、貸方に車両運搬具を計上します。
ステップ2(当期の減価償却費を計上する)
問題文の「×1年8月18日に購入した社用車…を、×4年9月10日に ¥ 800,000 で売却」「当社の決算日は3月末日(会計期間は1年)」から、期中に売却したことが分かります。
また、問題文に「償却方法:生産高比例法」とあるので、当期の走行距離に応じた減価償却費を計算して借方に計上しましょう。
- 取得原価:2,400,000円
- 総走行可能距離:10万キロ
- 当期の実際走行距離:1万キロ
- 当期の減価償却費:2,400,000円×1万キロ/10万キロ=240,000円
(貸)車両運搬具 2,400,000
ステップ3(前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する)
問題文に「前期末時点の実際走行距離:6万キロ」とあるので、前期末までに計上した減価償却費(=減価償却累計額)を計算して、借方に車両運搬具減価償却累計額を計上します。
- 取得原価:2,400,000円
- 総走行可能距離:10万キロ
- 前期末時点の実際走行距離:6万キロ
- 前期末時点の減価償却累計額:2,400,000円×6万キロ/10万キロ=1,440,000円
(借)車両運搬具減価償却累計額 1,440,000
(貸)車両運搬具 2,400,000
ステップ4(売却代金を借方に計上する)
問題文の「×4年9月10日に ¥ 800,000 で売却し、代金は買主が振り出した約束手形を受け取った」から、売却代金800,000円を約束手形で受け取ったことが分かるので、借方に営業外受取手形を計上します。
- 本業の活動により受け取った手形:受取手形で処理
- 本業以外の活動により受け取った手形:営業外受取手形で処理
(借)車両運搬具減価償却累計額 1,440,000
(借)営業外受取手形 800,000
(貸)車両運搬具 2,400,000
ステップ5(貸借差額を売却損益で処理する)
最後に貸借差額を固定資産売却益で処理します。
固定資産売却益=240,000円+1,440,000円+800,000円-2,400,000円=80,000円
(借)車両運搬具減価償却累計額 1,440,000
(借)営業外受取手形 800,000
(貸)車両運搬具 2,400,000
(貸)固定資産売却益 80,000
問2 仕入取引(外貨建取引)
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
オ(仕入) | 1,090,000 | ※6 | ア(前払金) | 210,000 | ※4 |
カ(買掛金) | 880,000 | ※5 | |||
※4 @105円×2,000ドル=210,000円
※5 @110円×(10,000ドル-2,000ドル)=880,000円
※6 210,000円+880,000円=1,090,000円(貸借差額)
仕入取引(外貨建取引)に関する問題です。
本問は、取引を「前払金にかかる仕入取引」と「掛けによる仕入取引」の2つに分けて考えましょう。
前払金にかかる仕入取引
問題文の「先に支払った手付金2,000ドル」から仕入取引に先立って手付金を支払っていることが分かるので、手付金支払時に借方に計上した前払金を仕入に振り替えます。
なお、前払金の金額は2,000ドルに手付金支払時の為替相場(@105円)を乗じて計算しましょう。
(貸)普通預金など 210,000
(貸)前払金 210,000
掛けによる仕入取引
問題文に「残額を買掛金として計上した」とあるので、残りの8,000ドル(=10,000ドル-2,000ドル)に仕入時の為替相場(@110円)を乗じて買掛金の金額を計算しましょう。
(貸)買掛金 880,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問3 電子記録債権の割り引き
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
エ(普通預金) | 485,000 | ※8 | イ(電子記録債権) | 500,000 | |
ウ(電子記録債権売却損) | 15,000 | ※7 | |||
※7 500,000円×3%=15,000円
※8 500,000円-15,000円=485,000円(貸借差額)
電子記録債権の割り引きに関する問題です。
電子記録債権は支払期日前であっても、譲渡や割引きによって現金化することができます。仕訳の考え方は「手形の裏書き・割引き」と同じです。
500,000円の電子記録債権を割り引いたさいに発生した割引料15,000円(=500,000円×3%)は電子記録債権売却損で処理し、残額の485,000円(=500,000円-15,000円)は普通預金の増加として処理します。
問4 商品保証引当金
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
キ(商品保証引当金) | 98,000 | ※9 | ウ(当座預金) | 120,000 | |
ア(商品保証費) | 22,000 | ※10 | |||
※9 9,800,000円×1%=98,000円
※10 120,000円-98,000円=22,000円(貸借差額)
商品保証引当金に関する問題です。
本問は、取引を「前期末の引当金計上に関する取引」と「当期の修理対応に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
前期末の引当金計上に関する取引
問題文の「前期の決算において売上高 ¥ 9,800,000 の1%を商品保証引当金に計上」から、前期末において保証期間内に発生すると予想される「保証に要する費用」を合理的に見積もって、商品保証引当金を計上したことが分かります。
繰入額=9,800,000円×1%=98,000円
(貸)商品保証引当金 98,000
当期の修理対応に関する取引
問題文の「前期に販売した商品に対して修理の申し出があったので、修理業者に修理を依頼し、修理代金 ¥ 120,000 を小切手を振り出して支払った」から、当期中に修理代金120,000円を支払ったことが分かります。
前期に計上した商品保証引当金98,000円を取り崩すとともに、不足分の22,000円(=120,000円-98,000円)を商品保証費で処理します。
(貸)当座預金 98,000
(貸)当座預金 22,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
問5 利益処分
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | ||
---|---|---|---|---|---|
カ(繰越利益剰余金) | 520,000 | ※13 | オ(未払配当金) | 300,000 | ※11 |
イ(利益準備金) | 20,000 | ※12 | |||
エ(新築積立金) | 200,000 | ||||
※11 @300円×1,000株=300,000円
※12 10,000,000円÷4-(2,000,000円+480,000円)=20,000円
※13 300,000円+20,000円+200,000円=520,000円(貸借差額)
利益処分に関する問題です。
本問は、取引を「配当に関する取引」と「新築積立金に関する取引」の2つに分けて考えましょう。
配当に関する取引
問題文の「定時株主総会を開催し、繰越利益剰余金 ¥ 700,000 の処分を次のとおり決定した」「株主配当金:1株につき ¥ 300 」から、繰越利益剰余金の一部を配当することが分かります。
配当にあたっては、会社法の規定(第445条の4項など)に従って一定額を準備金として積み立てる必要があります。
- 原則として配当額の10分の1を準備金として積み立てなければならない(10分の1規定)
- ただし、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達した場合は、それ以上積み立てる必要はない(4分の1規定)
よって、「配当額の10分の1(10分の1規定の金額)」または「資本金の4分の1から資本準備金と利益準備金の合計額を差し引いた残額(4分の1規定の金額)」のうち、どちらか小さいほうの金額だけ準備金を積み立てることになります。
- 配当額:@300円×1,000株=300,000円
- 10分の1規定の金額:300,000円÷10=30,000円
- 4分の1規定の金額:10,000,000円÷4-(2,000,000円+480,000円)=20,000円
- 準備金要積立額:30,000円>20,000円 → 20,000円
なお、配当にあたって積み立てる準備金は「配当の原資」によって異なります。本問は繰越利益剰余金を配当の原資としているので、利益準備金を積み立てます。
- 配当の原資が繰越利益剰余金:利益準備金を積み立てる
- 配当の原資がその他資本剰余金:資本準備金を積み立てる
- 配当の原資が繰越利益剰余金とその他資本剰余金:利益準備金と資本準備金を積み立てる
(貸)未払配当金 300,000
(貸)利益準備金 20,000
新築積立金に関する取引
繰越利益剰余金を新築積立金に振り替えるだけです。
(貸)新築積立金 200,000
まとめ
以上、①②の仕訳をまとめると解答仕訳になります。
また、問題文に「繰越利益剰余金 ¥ 700,000 の処分…」とありますが、これは株主総会時点の繰越利益剰余金の金額を記載しているだけです。この金額をすべて処分するわけではないので、仕訳の借方の金額(520,000円)と一致しなくても問題ないです。
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