仕訳対策教材「重要仕訳TOP100」

簿記2級 重要仕訳TOP100「企業合併」

仕訳問題

難度:高・・低

重要度:A・B

当期首において灰谷ラビット株式会社を吸収合併し、新たに当社の株式300株(時価:@¥ 20,000 )を同社の株主に交付した。同社から承継した資産および負債は、以下のとおりである。なお、株式の交付にともなって増加する株主資本は、70%を資本金、残りを資本準備金として計上することにした。

  • 現金(帳簿価額:¥ 2,100,000 時価:¥ 2,100,000 )
  • 売掛金(帳簿価額:¥ 2,800,000 時価:¥ 2,800,000 )
  • 商品(帳簿価額:¥ 1,500,000 時価:¥ 1,600,000 )
  • 買掛金(帳簿価額:¥ 1,000,000 時価:¥ 1,000,000 )
勘定科目は次の中から最も適当なものを選びなさい。
現金 売掛金 のれん その他有価証券
買掛金 資本金 資本準備金 繰越利益剰余金
売上 負ののれん発生益 仕入 損益

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 2,100,000 買掛金 1,000,000
売掛金 2,800,000 資本金 4,200,000 ※1
仕入 1,600,000 資本準備金 1,800,000 ※2
のれん 500,000 ※3

※1 (@20,000円×300株)×70%=4,200,000円
※2 (@20,000円×300株)-4,200,000円=1,800,000円
※3 1,000,000円+4,200,000円+1,800,000円-2,100,000円-2,800,000円-1,600,000円=500,000円(貸借差額)




解説

企業合併に関する問題です。

問題資料にて、被合併会社(灰谷ラビット株式会社)の資産・負債の帳簿価額と時価が与えられているので、時価により資産・負債を引き継ぎます。

問題資料(一部抜粋)
  • 現金(帳簿価額:¥ 2,100,000 時価:¥ 2,100,000)
  • 売掛金(帳簿価額:¥ 2,800,000 時価:¥ 2,800,000)
  • 商品(帳簿価額:¥ 1,500,000 時価:¥ 1,600,000)
  • 買掛金(帳簿価額:¥ 1,000,000 時価:¥ 1,000,000)

なお、商品に関しては「仕入で処理する場合(三分法を採用している場合)」と「商品で処理する場合(売上原価対立法を採用している場合)」の2パターンがあります。

参考:三分法を採用している場合の商品受入時の仕訳
(借)仕入 ×××
 (貸)買掛金など ×××
参考:売上原価対立法を採用している場合の商品受入時の仕訳
(借)商品 ×××
 (貸)買掛金など ×××

本問の合併会社の記帳方法は不明ですが、問題に列挙されている勘定科目の中に仕入がある(商品はない)ので、引き継ぐ商品を仕入で処理すると判断します。

参考:資産と負債を時価で引き継ぐ仕訳
(借)現金 2,100,000
(借)売掛金 2,800,000
(借)仕入 1,600,000
 (貸)買掛金 1,000,000

また、問題文に「新たに当社の株式300株(時価:@¥ 20,000 )を同社の株主に交付した」「株式の交付にともなって増加する株主資本は、70%を資本金、残りを資本準備金として計上する」とあるので、資本金と資本準備金の金額を計算するとともに、貸借差額をのれんで処理します。

資本金・資本準備金の計算
  1. 交付する株式:@20,000円×300株=6,000,000円
  2. 資本金:6,000,000円×70%=4,200,000円
  3. 資本準備金:6,000,000円-4,200,000円=1,800,000円
貸借差額の計算
  1. 引き継ぐ純資産:2,100,000円+2,800,000円+1,600,000円-1,000,000円=5,500,000円
  2. 交付する株式:6,000,000円
  3. 差額:6,000,000円-5,500,000円=500,000円(のれん)
解答:企業合併に関する仕訳
(借)現金 2,100,000
(借)売掛金 2,800,000
(借)仕入 1,600,000
(借)のれん 500,000
 (貸)買掛金 1,000,000
 (貸)資本金 4,200,000
 (貸)資本準備金 1,800,000

参考:企業合併の基本ルール

他の企業を吸収合併する場合、被合併会社(消滅する会社)の資産・負債を公正な価値(時価が分かる場合は時価)で引き継ぎ、その対価として被合併会社の株主に株式を交付します。

また、引き継ぐ純資産(資産-負債)と新たに交付する株式の金額が異なる場合は、差額をのれん(無形固定資産)または負ののれん発生益(収益)で処理します。

貸借差額の処理
  • 引き継ぐ純資産よりも交付する株式の金額のほうが大きい:借方にのれんを計上
  • 引き継ぐ純資産よりも交付する株式の金額のほうが小さい:貸方に負ののれん発生益を計上
田口先生1
田口先生
企業買収に関する仕訳は、企業買収で出題しています。本問とあわせてご確認ください。

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4.有価証券(全9問)
5.固定資産(全22問)
7.社会保険・税金(全8問)
8.純資産(全10問)
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