仕訳対策教材「重要仕訳TOP100」

簿記2級 重要仕訳TOP100「固定資産の廃棄」

仕訳問題

難度:高・・低

重要度:A・B

×3年4月1日に購入した製造用機械(耐用年数:5年、残存価額:ゼロ、償却方法:定額法、記帳方法:間接法、当期首時点の帳簿価額:¥ 180,000 )を×6年11月22日に廃棄した。なお、当社の決算は3月31日(年1回)であり、減価償却は月割計算で行っている。

勘定科目は次の中から最も適当なものを選びなさい。
現金 当座預金 普通預金 営業外受取手形
未収入金 貯蔵品 機械装置 機械装置減価償却累計額
営業外支払手形 未払金 減価償却費 固定資産廃棄損

解答仕訳

借方科目 金額 貸方科目 金額
減価償却費 60,000 ※2 機械装置 450,000 ※1
機械装置減価償却累計額 270,000 ※3
固定資産廃棄損 120,000 ※4

※1 (180,000円÷2年)×5年=450,000円
※2 450,000円×8か月/60か月=60,000円
※3 450,000円-180,000円=270,000円
※4 450,000円-60,000円-270,000円=120,000円(貸借差額)




解説

固定資産の廃棄に関する問題です。

廃棄の仕訳は、以下の4ステップで考えると分かりやすいです。

  • ステップ1
    取得原価を貸方に計上する
  • ステップ2
    当期の減価償却費を計上する
  • ステップ3
    前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する
  • ステップ4
    貸借差額を除却損で処理する

ステップ1(取得原価を貸方に計上する)

問題文の「製造用機械…を…廃棄した」から、製造用機械を廃棄したことが分かるので、貸方に機械装置を計上します。

ただし、本問の製造用機械は取得金額が不明のため、問題文の「×3年4月1日に購入した製造用機械(耐用年数:5年、残存価額:ゼロ、償却方法:定額法、記帳方法:間接法、当期首時点の帳簿価額:¥ 180,000 )」から、取得原価を計算する必要があります。

取得原価の計算方法

本問で与えられている当期首時点の帳簿価額180,000円は、取得原価から前期末までの減価償却累計額を差し引いた残額です。前期末までの減価償却累計額を求めたうえで、取得原価を逆算しましょう。

取得原価と帳簿価額の関係
  • 取得原価-減価償却累計額=帳簿価額
  • 取得原価=減価償却累計額+帳簿価額
本問の場合
  • 取得原価-前期末までの減価償却累計額=当期首時点の帳簿価額
  • 取得原価=前期末までの減価償却累計額+当期首時点の帳簿価額

本問の製造用機械は前期末の時点で購入日から3年経過しているため、当期首時点の帳簿価額180,000円は残りの2年間ですべて償却されることになります。

よって、当期首時点の帳簿価額を2年で割ることによって1年分の減価償却費を求めることができるので、これに経過年数3年を乗じて前期末までの減価償却累計額を求めましょう。

前期末までの減価償却累計額の計算
  • 購入日から前期末までの期間:3年(×3年4月~×6年3月)
  • 当期首時点の残りの償却期間:2年(×6年4月~×8年3月)
  • 当期首時点の帳簿価額:180,000円
  • 1年分の減価償却費:180,000円÷2年=@90,000円
  • 3年分の減価償却費(前期末までの減価償却累計額):@90,000円×3年=270,000円

前期末までの減価償却累計額を求めたら、当期首時点の帳簿価額と合算して取得原価を求めましょう。

取得原価の計算
  • 取得原価-前期末までの減価償却累計額=当期首時点の帳簿価額
  • 取得原価=前期末までの減価償却累計額+当期首時点の帳簿価額
  • 取得原価=270,000円+180,000円=450,000円
ステップ1:取得原価を貸方に計上する
 (貸)機械装置 450,000
田口先生1
田口先生
1年分の減価償却費(@90,000円)を求めたら、そのまま耐用年数(5年)を乗じて取得原価450,000円(@90,000円×5年)を計算することもできます。

ステップ2(当期の減価償却費を計上する)

問題文の「×3年4月1日に購入した製造用機械…を×6年11月22日に廃棄」「当社の決算は3月31日(年1回)」から、期中に廃棄したことが分かります。

また、問題文に「償却方法:定額法」「減価償却は月割計算で行っている」とあるので、当期の4月1日から11月22日までの8か月分の減価償却費を計算して借方に計上します。

減価償却費の計算
  • 当期首から売却日までの期間:8か月(×6年4月~×6年11月)
  • 耐用年数:5年(60か月)
  • 8か月分の減価償却費:450,000円×8か月/60か月=60,000円
ステップ2:当期の減価償却費を計上する
(借)減価償却費 60,000
 (貸)機械装置 450,000

ステップ3(前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する)

問題文の「×3年4月1日に購入した」から、前期末(×6年3月31日)までに36か月分の減価償却費を計上していたことが分かるので、金額を計算して借方に機械装置減価償却累計額を計上します。

減価償却累計額の計算1
  • 購入日から前期末までの期間:36か月(×3年4月~×6年3月)
  • 耐用年数:5年(60か月)
  • 36か月分の減価償却費:450,000円×36か月/60か月=270,000円

もしくは、問題文の「当期首時点の帳簿価額:¥ 180,000」と、ステップ1で求めた取得原価450,000円との差額で求めることもできます。

減価償却累計額の計算2
  • 取得原価:450,000円
  • 当期首(前期末)時点の帳簿価額:180,000円
  • 前期末の減価償却累計額:450,000円-180,000円=270,000円
ステップ3:前期末の減価償却累計額を計算して借方に計上する
(借)減価償却費 60,000
(借)機械装置減価償却累計額 270,000
 (貸)機械装置 450,000

ステップ4(貸借差額を廃棄損で処理する)

最後に貸借差額を固定資産廃棄損で処理します。

固定資産廃棄損=450,000円-60,000円-270,000円=120,000円

ステップ4:貸借差額を廃棄損で処理する
(借)減価償却費 60,000
(借)機械装置減価償却累計額 270,000
(借)固定資産廃棄損 120,000
 (貸)機械装置 450,000
田口先生1
田口先生
廃棄のさいに処分費用や運搬費用などが発生した場合は、(特別な指示がある場合を除いて)固定資産廃棄損に含めて処理します。
なお、固定資産の除却に関する仕訳は、固定資産の除却で出題しています。本問とあわせてご確認ください。

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POSTED COMMENT

  1. 芍薬 より:

    こんにちは。仕訳Bランク第1回目の2について質問です。
    償却方法が定額法のため、帳簿価格=取得原価かと思い、貸方を(機械装置)180,000にしてしまいました。どうして450,000になるのでしょうか?
    よろしくお願いします。

    • 田口泰久(管理人) より:

      芍薬さん

      コメントありがとうございます。
      取得原価と帳簿価額はイコールではないです。ステップ1の解説をより詳しく書き直しましたので、お時間のあるときにご一読ください。

      • 匿名 より:

        さっそく解説頂き、ありがとうございます。
        それでは、無形固定資産のように、機械装置の帳簿価格も償却年数と共に減っていくのでしょうか?
        間接法の場合は、資産そのものを減らしていくのではなく、減価償却累計額の勘定科目で処理するものと理解していました。
        宜しくお願い致します。

        • 田口泰久(管理人) より:

          コメントありがとうございます。
          固定資産の帳簿価額は、取得原価から減価償却累計額を差し引いた額になるため、減価償却を行うたびに減少していきます。取得原価と混同しないように気をつけてください。

          • 匿名 より:

            私も上記の方と同じ理解でいます。
            間接法とあるので、帳簿価格は減らさないのではないでしょうか?
            直接法であれば帳簿価格が減少するのは理解できるのですが、、、

            • 田口泰久(管理人) より:

              コメントありがとうございます。
              帳簿価額は「帳簿(上で表示されている)価額」ではなく「帳簿(上の実質的な)価額」です。
              もっと簡単に言い換えると「現時点の価値」です。

              記帳方法(直接法・間接法)に関係なく、帳簿価額は取得原価から減価償却累計額を差し引いた残額になります。

              【帳簿価額と取得原価の関係】
              帳簿価額=取得原価-減価償却累計額
              (現時点の価値=購入時の価値-時間の経過とともに減少した価値)

              間接法による場合、帳簿上で表示される固定資産の金額が変わらないため「間接法は帳簿価額が減らない」と考えてしまいがちですが、
              価値の減少分を間接的に減らしているから「減っているように見えないだけ」で、実際は減価償却費を計上するたびに帳簿価額は減っていきます。

              勉強がんばってください。

              • 匿名 より:

                帳簿価額は「帳簿(上で表示されている)価額」ではなく「帳簿(上の実質的な)価額」です。
                もっと簡単に言い換えると「現時点の価値」です。
                と解説されていますが、帳簿価格=時価ということでしょうか
                そうすると棚卸減耗や商品評価損も存在しない?と考えてしまします。

                お忙しいこととは存じますが、解説いただけると幸いです。

                • 田口泰久(管理人) より:

                  コメントありがとうございます。

                  >> 帳簿価格=時価ということでしょうか

                  違います。
                  時価は簡単に言いますと「市場価格に基づく価額」ですので、帳簿価額とは異なります。

                  なお、2級の受験対策としては「帳簿価額=取得原価-減価償却累計額」という計算式を押さえておけばOKですので、現時点で100%理解できなくても大丈夫です。

                  勉強がんばってください!

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